motimotimnko’s diary

日々の雑談

おせっかいなタクシー運転手

「ちょっと海まで」

真夜中のタクシーはこの世を走る

最速の乗り物だ

「ラジオか曲流してくださいよ」

「良いですよ」

そういうと音楽が流れた

ヴィジュアル系だった

「おじさんもそういうの聞くんだ」

「娘が好きでね」

「仲が良いんですね」

「部屋から爆音で流れてくるから歌詞を調べただけですよ娘とはもう何年も話してない」

「そのバンドの名前知りたいですか?」

「なんて言うんですか?」

「じゃあ運賃オマケしてくださいよ」

「タダでも良いですよ」

「本当に好きなんですね」

「まあ」

ガゼット

「ライブとかやってるのかな?」

「もうファイナルライブも終わってますよ」

「爆音でライブ会場で聴きたかったなぁ」

「なんでその曲なんですか」

「女の香りと死人の顔をしてたから」

「死にませんよ」

「嘘でしょ」

「嘘ですね」

「嘘が下手だ君は」

「運転手さんもね」

「なんでそう思う?」

「娘さん死んでるでしょ」

「なんでそう思う?」

「隣にいるから」

「見えるんだ君にも」

「見えますよ」

「この子と海で遊んであげてくれませんか」

「良いですよ」

「触ったりしないでくださいね」

「触れませんよ死んでるんですから」

「貴方が死んだ後ですよ」

「今日は死にませんよ」

「嘘だ」

「これは本当」

「へえ?なんで」

「約束してるんです」

「どんな?」

「私は好きな人に殺される」

ヴィジュアル系本当好きなんですね」

「その曲なんていうか知ってますか?」

「知ってますよ」

「そういう事です」

「海、つきましたよ」

「ありがとうね」

「タダでいいですよ」

「ありがとう」

「始発5時からですよここは」

「何度も来てるんですね」

「夜中に一人で海なんてね」

「なるほどね」

 

 

その日流れた曲は

東京心中