ある秋の事
私には好きな人がいた
青春の全てをその人に捧げていた
その人以外の恋愛は全てお遊びだったのかも
知れませんし私は遊ばれていたのだった
別れたり付き合ったりを繰り返し
連絡も取らなくなって半年後
なんやかんや好きでいながらも
どうする事もできず
適当な人と付き合ってぼんやりと
生きていたり別れて喪失感で
ハッキリと今を感じているような
クズ人間だった
そんな私に1通の連絡が来る
好きな人だった
来るはずのない連絡が私に来て
とても嬉しかった
まだ好きだった
話が盛り上がって
通話でもしようかとなり
なぜか高まった二人は
会う事になったのだ
通話の最後もういくね?というと
彼女はすぐに通話を切る
だから僕は
「もういくね?」
という君に
「ねえ好きだよ」
そう速く言い残して通話を切った
帰ってきたLINEは
必ず来てねだった
もちろん僕は行った
好きな人も来た
なんとなく街をぶらついて
他愛ない会話を交わし
ぎこちない手と手が触れ合いながらも
離れて行ったりする姿が
自分達のもどかしさを
表しているようだった
「ねえ今でも好きなの?」
そんな事を急に聞かれたが
冷静を装い私は話を逸らす
「いつもどおり主語が抜けてるよ」
すこし不機嫌そうに返す
「私の事今でも好き?」
物凄く可愛子ぶって言ってくる
少しムシャクシャした
気持ちが伝わるならそれでいいかと思った
そんな事を態々聞いてくる
元カノなんて脈しかないだろという
思考を巡らせたのはほんの一瞬
僕は言葉じゃなくて
キスをして彼女の気持ちに答えた
「嬉しいよ」
そう言って泣いていた
僕らの恋愛に涙は付き物だった
別れ際、すぐ会えるのに
辛すぎてよく泣いていた
メンヘラか?
「ねえ帰るの?」
私は不意にそんな事を口にした
してしまったが正しかったか?
「そんな寂しい事言わないでよ」
本気で泣き出しそうな君
「どっか泊まってく?」
「いいとこあるよ!」
そう言って連れられたホテルは
予約済みで最初からこのつもりかよと
計算され尽くした行動に
まんまと乗せられた感じがして
悔しさしかなかったが
嬉しそうに笑うから
僕は、僕はそれでいいやと思った
2晩泊まった
ずっと抱き合っていた
アホになっていた
しかし惹かれ合う二人が
久しぶりに会ったらこうなるのは
自然の摂理かもしれませんね
そして帰り際の君は
僕の予想を裏切る話を振る
「実はさ、彼氏いるんだよね」
「そっかそれで?」
「定期的にこういうことする…とかどう?」
「愛人かて」
「まあね」そう言って君は照れ臭そうに笑う
私は別に断る理由もないし
承諾したが彼女が来ることはなかった
突然の知らせだけが届いた
「妊娠した」
「へえ彼氏の子?」
「違うと思う」
「え、私の?」
「そうだと思う」
「なんで?」時期的にはおかしくなかった
「今の彼氏顔がブスなんだよねだから顔が良いアンタの子が欲しかったんだよ」
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何も理解できなかった
「結婚すんの?」
「彼氏とね」
なにも理解したくなかった
「彼氏と結婚する為の子供をそんな理由で私に作らせたのか?」
「うるさいな」
うるさいのはお前だと思った
もうなにも言いたくなかった
なにも聞きたくなかった
お互いそうなんだと思った
私は彼女の前から
姿を消した